ただ取るだけじゃない! 睾丸摘出手術・金玉を抜く前に知っておきたい知識

睾丸摘出手術とは、わかりやすく言うと金玉を取る手術のことで、玉抜きとも言われています。

この手術、一見簡単そうに聞こえますが、ただ金玉を取るだけだと思っていませんか?

 

睾丸摘出手術はMtFの方が行う手術の中では簡単な方な手術ですが、実はかなり注意が必要な手術です!

今回は取り返しのつかなくなる前に知っておきたい性同一性障害のための睾丸摘出手術の知識をご紹介します。

睾丸とは

男性の生殖腺で、男性の精子を作る器官です。

男性ホルモンを分泌する器官でもあり、「精巣」「きんたま」などとも呼ばれています。

 

睾丸摘出手術は一度手術をしてしまうと二度と元には戻れない手術

睾丸摘出手術をする上で1番注意が必要なのは、手術の過程で神経を切り離してしまうことです。

神経は一度切り離してしまうと、二度と元に戻すことはできません。

また不完全な身体になるとともに、一生ホルモン療法をし続けなければならなくなります。

 

そして睾丸摘出手術は、病院によってはカウンセリングをせずに、電話一本で手術を行ってくれる病院も存在します。

早く手術がしたいと思う方も多く、有難く感じる方も多いと思いますが、簡単に出来てしまうからこそ注意が必要な手術なのです。

 

睾丸摘出手術による変化

男性ホルモンが分泌されなくなる

睾丸摘出手術による一番の変化は、睾丸がなくなることにより男性ホルモンがほとんど分泌されなくなることです。

それにより身体の男性的成長が止まり、ホルモン療法による身体への影響をより受けやすくなります。

MEMO

男性ホルモンは副腎という部分からも少し(健康な男性が分泌する男性ホルモンの内、全体の約5%程度)分泌しています。

 

男性生殖腺である睾丸を摘出したことで、生殖機能は完全に喪失してしまい、精液が出なくなり、陰茎(男性器)、陰嚢(玉袋)も萎縮していきます。

また人によっては尿道球腺液(カウパー液)も出なくなります。

 

性別適合手術にも大きく影響する

前述したように睾丸摘出手術を行うと、陰茎、陰嚢が委縮していきます。

この陰茎、陰嚢の委縮は性別適合手術(以下、性転換手術)にも大きく影響します。

 

性転換手術には様々な方法がありますが、一般的な方法である反転法による性転換手術には、陰茎の皮、陰嚢が必ず使用されます。

睾丸摘出によりそれらが委縮してしまうと、性転換手術に使用する皮膚が不足してしまうのです。

 

上記のことから、反転法での性転換手術を考えている方は、この点も注意が必要です。

ちなみに反転法での性転換手術を行う場合、睾丸摘出手術を行ってから1年以内であれば、皮膚が不足するリスクも低いようです。

 

睾丸摘出により男性ホルモン分泌されなくなることによる影響

女性ホルモンを投与する量を減らすことができる

女性ホルモンの投与は身体的変化(女性化)以外の目的に、男性ホルモンを抑制するという目的があります。

そのため、睾丸摘出手術により睾丸から分泌されていた分の男性ホルモンを抑制する必要がなくなります。

上記のことから、女性ホルモンを投与する量を減らすことができるようになります。

 

後述しますが、ホルモン投与には身体への負担や、様々な病気リスクも存在します。

そのため厳密には、女性ホルモンを投与する量を減らすというより、減らさなければならない場合の方が大半です。

 

様々な病気へのリスクが高くなる

出典:http://health.suntory.co.jp/professor/vol23/

上記のグラフのように、健康な方でも老化とともに男性ホルモン(テストステロン)、女性ホルモン(エストロゲン)の量が減少していきます。

性同一性障害の方の場合、これらの性ホルモンが身体的治療により分泌できなくなってしまいます。

 

ピンときた方もいると思いますが、睾丸摘出手術をした時点で、グラフにあるような様々な病気になるリスクが高くなってしまいます。

ホルモン療法により、性ホルモンを補充すれば、このリスクをある程度は軽減できるようになります。

しかしホルモン療法にも様々なリスクが存在するため、それらもあわせて考えなくてはいけませんね。

 

また女性ホルモンの欠乏により上記のグラフに表記されている病気に加え、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞などのリスクも高まるようです。

 

睾丸摘出後のホルモン投与

前述した通り、睾丸摘出後は男性ホルモンがほとんど分泌されなくなります。

性ホルモンの減少により更年期障害などのリスクも高まるため、睾丸摘出後はなおさらホルモン療法により女性ホルモンを補わなくてはならないないと思いますよね。

しかし睾丸摘出後のホルモン投与への見解は医師によって様々で、ホルモン投与をしなくてもいいという医師もいます。

 

その理由の一つに、性ホルモンの投与自体に身体への負担・副作用、合併症のリスクが存在するからという理由も含まれています。

そうです。性ホルモンを投与する、しないに関わらず、どちらを選択しても病気などのリスクを伴うのです。

わたしの周りの方には、性ホルモンを過剰に投与し肝臓病になった方もいます。

引き返せなくなる前に! 性同一性障害のホルモン療法による効果と副作用まとめ

 

結局どっちがいいのと思う方も多いと思いますが、正解はありません。

悩む場合は何人かの医師と相談し、それぞれの意見を聞いた上で決めることをおすすめします。

ちなみにわたしはホルモン投与は続けた方がいいと思っているので、今も続けています。

 

睾丸摘出手術の料金

睾丸摘出の料金は、10万~30万円と病院によって大きく差があります。

わたしの場合、麻酔代込みで丁度20万円でした。

紹介などによって安く手術されている方も多いので、周りにすでに手術をされている方がいるなら、紹介してもらうことをおすすめします。

 

睾丸摘出手術を受けるための条件

  • 女性ホルモンによるホルモン療法を1年以上続けている。
  • 性同一性障害の診断書(病院によって必要でない場合もある)。

睾丸摘出手術を受けるために必ず必要とされる条件として「女性ホルモンによるホルモン療法を1年以上続けている」という条件があります。

ホルモンバランスなどの問題から、ほとんどの病院でこの条件を提示されます。

 

上記の通り、病院によっては「性同一性障害の診断書」が必要な場合もあったりと、病院によって条件が少し異なる場合もあります。

 

また手術を受ける1週間前からは、女性ホルモンの投与を一時的に止める必要があります。

わたしは身体から女性ホルモンがなくなるのが恐いと思い、ちょうど1週間前にホルモンを過剰に投与しました(絶対にマネしないで下さい)

そのせいか、術後は全身の痛みや頭痛が酷く、3日間ほど仕事も出来ませんでした。

 

まとめ:不可逆的であることを十分に考えて挑みたい手術

女性ホルモン投与による効果を受けやすくなったり、男性化が止まったりとMtFにとってとても嬉しい効果が目立ちます。

しかし一度手術を受けてしまうと二度と元には戻れません。

手術を考えている方は安易に考えず、よく考えて決断してください。

 

ニャーバン

よ〜く考えるんだにゃ!

4 COMMENTS

上中 務

とてもわかりやすくて、勉強になりました。
ありがとうございます。
私が自分の性に違和感を持ち始めてから中年と呼ばれる年齢まで、ずっと男性として生きてきました。
ようやく性転換が公然と認められるようになった近年、「もう若くはないのだから、、、」とあきらめていました。

先生の記事を読んで、する、しないは別として、勇気が湧いてきました。
本当にありがとうございました。

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わかな

そう言っていただけてこちらも嬉しいです!
違和感を持ちながら生きるのは本当に辛いですよね…

先生だなんてそんな大それた者ではないですが、少しでも勇気を与えることができてよかったです!
こちらこそありがとうございます+°.

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さおり

私の場合ですが、やはりカウンセリングは不十分でしたね。
術後に飲まされた止血剤が強すぎたのか、脳梗塞を発症しました(経度で済みましたが)やはり、年齢とか、体の状況を十分把握していないと事故につながります。
手術はフツーの方の二倍かかりました。睾丸が癒着しかかっていたらしく、はがすのに時間を要したとのこと。
あと、術後ですが、傷口は一週間ほどできれいにくっつきましたが自然溶融糸使用のためかその後糸の部分から細菌感染し化膿しました。抗生物質で一週間ほどかかりました。抜糸が望ましいですね。
まあ、いいところも有るわけで、ホルモン量は最低レベルに減らしています。
バストは、1サイズアップしましたね。(B→C)

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わかな

身体への影響が大きい手術にも関わらず、手術される方の身体の状況を十分に把握しようとしないのは悲しいですね。

睾丸の癒着は初めて聞きました。
MtFの方は睾丸摘出手術を希望する方も多いと思うので、これから手術をされる方は何事もなく手術を終えるために、十分なカウンセリングを行ってくれる病院を選んでほしいですね。

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