ここ最近で厚生労働省が、性同一性障害の方の性転換(性別適合手術)に対して、2018年からの公的医療保険の適用対象とする方向で検討に入ったという情報が話題となりました。
この保険適用に対して「性同一性障害が病気扱いされるのは不快だから性転換の保険適用は反対」など、当事者からの反対意見もあるそうです。
今回は性同一性障害を障害または病気として扱うことに対して、わたしが思うことをお話しします。
参考 性適合手術 来年度から保険適用へ 従来は100万円以上も性同一性障害とは
まずは性同一性障害について軽くおさらいします。
性同一性障害とは自分の性別に違和感を持ち、性転換などの身体的治療を望む方のこと表現した言葉です。
性同一性障害は精神障害?
性同一性障害は精神保険福祉法上では、精神障害として扱われています。
精神障害として扱われてはいますが、軽度の精神障害として扱われているため、性同一性障害のみで障害者手帳を発行してもらうのは難しいようです。
精神障害として扱われることについてわたしが思うこと
精神障害として扱われてはいますが、いい意味でも悪い意味でも、性同一性障害が精神障害として扱われることによる影響はほとんどないようにわたしは感じます。
一つメリットを挙げるとすれば、うつ病などを併発し障害者手帳を発行してもらう際に、発行しやすくするための判断材料の一つにはなる程度だと思います。
性同一性障害に対しての社会的な動き
ここ数年メディアなどにより、LGBTやセクシャルマイノリティ(性的少数者)が取り上げられるようになり、昔に比べ性同一性障害はかなり浸透してきました。
認知だけでなく理解も深めようと、会社での講習や学校の授業に取り入れたりなど、様々な取り組みも実施されていますね。
それに伴い性同一性障害を障害ではなく個性として扱う動きも見られます。
性同一性障害という名称も、「害」の部分をひらがなで表記したり、性別違和や性別不一致、性別不調和などへ改称する動きもあるそうです。
個性として扱うことについてと保険適用の反対意見についてわたしが思うこと
前述した通り、性同一性障害の方の性転換の保険適用に対して「性同一性障害が病気として扱われるのが不快だから性転換の保険適用は反対」などの意見もあります。
病気として扱われるのが不快という気持ちはわかりますが、保険適用まで反対するのはどうかと思いました。
現に当事者であるわたしは、心の性と体の性の不一致により様々なストレスを受けてきましたし、それによる弊害も多くありました。
わたしは性同一性障害の方に対しての差別や偏見の軽減を目的として、個性として扱うよう働きかけることには賛成です。
でも性転換の保険適用の反対には納得できません。
性転換って思いの外お金がかかるんですよね。
その金銭面のハードルにより手術を断念される方も多くいます。
もし性同一性障害の方の性転換が保険適用になれば、金銭的ハードルもある程度は緩和されますし、性転換できないことによるストレスも解消されると思います。
この保険適用の反対意見を述べている方は、すでに身体的治療を終えたか、身体的治療を望んでいないトランスジェンダーの方なのかなと思いました。
障害として扱うかと個性として扱うかのバランスが重要?
こう言ってしまうと自分勝手なように思われるかもしれませんが、わたしは障害として扱った方がいい側面もあれば、個性として扱った方がいい側面もあると思います。
前述した通り性同一性障害という存在については、差別や偏見が薄れるという目的で、個性として扱うべきなのかもしれません。
しかし医療的側面からすれば、それは本人の望む体の性になってからの話のような気がします。
そのことから個性か病気どちらか一方に絞るのではなく、社会的には個性として扱い、医療的には障害や病気として扱うのが一番なのかなと今回の件で感じました。
まとめ
社会的な様々な取り組みによりいい意味でも悪い意味でも、性同一性障害の存在がとても繊細なものになりました。
わたしは前述したように、どちらか一方に絞らず、社会的には個性として扱い、医療的側面からは障害や病気として扱うのが一番いいように思います。
厚生労働省の検討通り、性同一性障害の方の性転換の保険適用が実現され、性同一性障害がより生きやすい社会になればいいですね。
日本もセクシャルマイノリティに対してどんどん寛容になっている証ではありますね