【男性ホルモン剤によるFtMの体の変化】効果や副作用を解説!

性同一性障害の男性
性同一性障害の男性

男性ホルモンで体はどう変化するだろう?

男性ホルモンを投与するメリットが知りたい

でも副作用やリスクも気になるなぁ…

この記事ではこういった疑問に答えます。

本記事の内容
  • 男性ホルモンのメリットになる効果
  • 男性ホルモンの副作用(デメリットになる効果)
  • 男性ホルモンの最も注意しなくてはいけないポイント

FtMにとって最初の一歩ともいえるGID治療で、自分の体がこれからどう変化していくのか気になる部分でもありますね。

そこで今回は男性ホルモンのメリットになる効果、副作用、注意点を解説していきます。

男性ホルモン歴9年のFtM当事者のあゆむさん(仮名)に、実際にどのように変化したのかも聞いたのであわせてご覧ください。

男性ホルモンのメリットになる効果

男性ホルモンを投与することで以下の効果が期待できます。

  1. 生理が止まる(月経停止)
  2. 声が低くなる
  3. 筋肉がつきやすくなる
  4. 髭や体毛の増加
  5. 乳房委縮(おっぱいが小さくなる)
  6. 陰核肥大
  7. 性欲増加

それぞれ解説していきます。

1.生理が止まる(月経停止)

男性ホルモンを投与することで、女性としての機能が徐々に低下していきます。

その過程で生理が止まります。

あゆむさん
あゆむさん

僕の場合は1~2回のホルモン投与ですぐに止まりました

男性ホルモンを継続して投与していても、投与を中断すると再び生理が始まってしまうこともあるようです。

あゆむさん
あゆむさん

僕は乳房切除の際、男性ホルモンの投与を1ヶ月やめなければいけませんでした

2年間ホルモン投与を継続していたにも関わらず、この時は再び生理が始まってしまいました

生理は女性の象徴ともいえる現象なので、ナプキンの購入などによるストレスから解消されるのは、FtMにとって大きなメリットですね。

2.声が低くなる

男性ホルモンの投与により、声帯器官が男性の第二次成長期と同じように成長し声が低くなります。

声が低くなることはFtMにとって嬉しいメリットですね。

あゆむさん
あゆむさん

僕はわりとすぐに変化しはじめました

でも声変わりが落ち着くまでは、すぐに声が裏返るし話しにくかったです

このように声変わりが落ち着くまでには声が安定しないこともあるようです。

声の安定には半年から1年くらいかかる方もいます。

3.筋肉がつきやすくなる

男性ホルモンには筋肉を作る働きもあります。

そのため体内の男性ホルモンの量が増えることによって、筋肉がつきやすくなります。

あゆむさん
あゆむさん

僕も筋トレをしていなくても筋肉がつきやすくなったのを実感しました

しっかり筋トレしてれば今頃はシックスパック…(笑)

肩回りなど、筋肉がつきやすい部位は大きくなりやすいようで、服のサイズもワンサイズ大きくなったそうです。

筋肉がつきやすくなる分、太りにくくはなりますが、食欲が増大する方も多いようなので体型を気にしている方は要注意です。

4.髭や体毛の増加

男性ホルモンには髭や体毛を濃く太く成長させる働きがあります。

男性ホルモンが増えることによって筋肉が増強されるように、髭や体毛も濃くなります。

これは変化の個人差が大きい部分で、変わらない人もいれば、かなり濃くなる人もいるようです。

あゆむさん
あゆむさん

僕は髭も体毛も全然濃くならず、男性ホルモン9年目にして、最近ようやく髭が生えてきました

この点は人によってはデメリットに感じる方もいるかもしれませんね。

濃くなってしまうのが嫌な場合は諦めて脱毛しましょう。

5.乳房委縮(おっぱいが小さくなる)

女性ホルモンは乳腺を刺激し、発達させる働きがあります。

そのため男性ホルモンによって女性ホルモンの分泌が抑えられることにより、おっぱいが徐々に小さくなると言われています。

あゆむさん
あゆむさん

僕はおっぱいの変化がほぼなく、胸を平らにする「なべシャツ」が必須でした

一度発達してしまった乳腺が退化するのは難しいようで、おっぱいが小さくなることを実感するFtMの方は少ないようです。

そのことからほとんどの方が乳房を切除をします。

6.陰核肥大

声が低くなったのと同じように、クリトリス(陰核)もペニスに成長しようと肥大化します。

あゆむさん
あゆむさん

僕の場合は、小指の第二関節くらいまで大きくなりました

ちなみに男性と同じように大きくはなることはありません。

7.性欲増加

男性ホルモンは自発的な性的興奮の頻度、持続力を高める働きがあります。

男性の方が性的な妄想をしやすいのは、男性ホルモンが多いからですね。

FtMの場合も男性ホルモンの投与によって、体内の男性ホルモンの量が増えるため、比例して性欲が増加します。

あゆむさん
あゆむさん

僕も性欲はかなり強くなりました

毎日でもエッチしたいくらい性欲の塊に!(笑)

性欲が増すことがほとんどだとは思いますが、全く変わらないという方もいます。

ちなみに外部刺激からによる性的興奮度と男性ホルモンの量は比例しません。

男性ホルモンが少ない女性でも、求められると性的興奮を感じられるのは、男性ホルモンの量と性的興奮度が比例していないからですね。

男性ホルモンの副作用(デメリットになる効果)

男性ホルモンを投与することでメリットとなる様々な効果が期待できますが、以下のように副作用(デメリット)となる効果もあります。

  1. 病気のリスクの増加
  2. 血清コレステロールの増加
  3. 汗をかきやすくなる
  4. 頭髪の減少
  5. 肌質の変化
  6. 毛穴の黒ずみなどの色素沈着
  7. 生殖機能を失う

それぞれ解説していきます。

1.病気のリスクの増加

ホルモンバランスの乱れや、ホルモン投与による負担、男性ホルモンの増加により、以下のような病気を引き起こすリスクがあります。

  • 深部静脈血栓症
  • 心不全
  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 肝機能障害
  • 多血症

深部静脈血栓症、心不全、心筋梗塞、脳梗塞などは年齢や環境によるものも大きく、長年投与している人に見られることが多いようです。

肝機能障害は投与された男性ホルモンを分解する際に、肝臓も使われるからです。

男性ホルモンの過剰投与や、お酒、たばこの常用が肝機能障害を引き起こす後押しにもなるので、当てはまる方は要注意ですね。

男性ホルモンの定期的な投与によって、男性の男性ホルモン量のピークを常に維持することになります。

男性ホルモンには血液を作る働きもあるので、男性以上に多血症のリスクが高くなってしまうのです。

2.血清コレステロールの増加

「筋肉がつきやすくなる」項で少し触れましたが、男性ホルモンには食欲を増加させる働きもあります。

その食欲増加が、血清コレステロール(コレステロールの血液中の濃度)の増加につながってしまうのです。

コレステロールには善玉コレステロール(HDLコレステロール)と悪玉コレステロール(LDLコレステロール)があります。

善玉コレステロールが増える分には問題ありませんが、悪玉コレステロールが増えると、「病気のリスクの増加」の項でもあげた脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高くなってしまいます。

3.汗をかきやすくなる

人間の体は熱くなると二種類の方法により体を冷却します。

  1. 汗をかいて水分を蒸発させ、体内の熱を逃がす方法
  2. 皮膚表面の血流を活発にさせ、皮膚から熱を空気中に逃がす方法

体が大きい人は前者、体が小さい人は後者の方が効率よく体を冷却させることができるため、体の表面積により勝手に方法が切り換えられています。

男性の方が汗をかくことが多いのはこのためですね。

男性ホルモン投与による筋肉や体重の増加が、この汗をかきやすくなることにつながるのです。

あゆむさん
あゆむさん

僕は元々、汗をよくかくほうでした

ホルモンを投与し始めてから、汗の量はさらに増えましたね

4.頭髪の減少

髪の毛には毛周期(ヘアサイクル)というものが存在します。

この周期を、成長期→退行期→休止期と繰り返すことで常に生え変わっているのです。

女性ホルモンには成長期から退行期への移行を抑制する働きがあります。

男性ホルモンにより女性ホルモンが抑制され、毛周期の移行を抑制できなくなるため頭髪の減少してしまいます。

男性ホルモンはAGA(男性型脱毛症)を発症させる働きもあり、長期の男性ホルモン投与によっては、はげてしまうリスクもありますね。

あゆむさん
あゆむさん

僕は元々、髪の毛の量が多いので「少しおでこが広くなったかも?」程度にしか変化を感じませんでした

将来はげてしまうかは少し心配…

5.肌質の変化

男性ホルモンには皮脂の分泌を促進させる効果があります。

何度もお話ししている通り、男性ホルモンの定期的な投与により、男性の男性ホルモン量のピークを常に維持しているFtMの方は男性ホルモンの影響を受けやすい状態です。

そのため皮脂が過剰に分泌されると、肌が脂っぽくなってしまいます。

あゆむさん
あゆむさん

電話した時にスマホに皮脂がつくなど、僕も肌が脂っぽくなるのを感じました

ホルモンを投与する前は肌もきれいだったのになぁ…

また以下のような肌荒れを引き起こすこともあります。

  • にきび
  • 肌の乾燥
  • 毛穴の炎症
あゆむさん
あゆむさん

僕も肌は荒れやすくなりました

にきびはすぐできるし、乾燥も感じます

これらは過剰に分泌された皮脂の影響もあり、毛穴に詰まった汚れなどが原因で毛穴が炎症を起こしてしまう場合もあります。

個人差はあるようですが、肌質が変化する方は多いようですね。

6.毛穴の黒ずみなどの色素沈着

男性ホルモンの増加に伴い、毛穴の黒ずみなどの色素沈着を引き起こす場合もあります。

あゆむさん
あゆむさん

僕の場合はほとんど感じませんでした

これは肌質の変化や汗の量にも関連しており、毛穴に詰まった汚れなどが原因で引き起こされます。

原理は毛穴の炎症と同じですね。

7.生殖機能を失う

「生理が止まる」項でもお話しした通り、男性ホルモンの投与によって女性としての機能が徐々に低下していきます。

それに伴い、生理の他には、妊娠に必要な機能も失うことになります。

女性としての機能を失うのはFtMにとってはメリットに感じる方も多いと思います。

しかし子宮が委縮してしまうと元に戻らなくなってしまうなど、不可逆的なものであることを踏まえるとデメリットでもありますね。

あゆむさん
あゆむさん

僕には生殖機能を失うことはメリットに感じました

僕の場合、子宮を摘出するまでの約5年のホルモン投与で半分ほどまで委縮していたようです

男性ホルモンの最も注意しなくてはいけないポイント

男性ホルモンの投与で最も注意しなくてはいけない点は、不可逆的であることです。

「生殖機能を失う」項でもお話ししましたが、メリット・デメリットを含めて、男性ホルモンは不可逆的な変化ももたらします。

声の低音化、陰核肥大、生殖機能の低下などは元に戻すことを考えると致命的な変化です。 そのため投与には覚悟を持って臨まなくてはいけません。

まとめ

今回は男性ホルモンのメリットになる効果、副作用(デメリット)、注意点を解説しました。

男性ホルモンのメリット

  1. 生理が止まる(月経停止)
  2. 声が低くなる
  3. 筋肉がつきやすくなる
  4. 髭や体毛の増加
  5. 乳房委縮(おっぱいが小さくなる)
  6. 陰核肥大
  7. 性欲増加

男性ホルモンの副作用(デメリット)

  1. 病気のリスクの増加
  2. 体重増加
  3. 汗をかきやすくなる
  4. 頭髪の減少
  5. 肌質の変化
  6. 毛穴の黒ずみなどの色素沈着
  7. 生殖機能を失う
まりな
まりな

FtMにとって嬉しい効果も多いですが、病気のリスクや不可逆的なことも十分に理解して投与しましょう

この記事は以下のサイトを参考にしています。

参考 ホルモン療法ナグモクリニックGID診療

3 COMMENTS

上田沙良

俺は体は女子ですが男子として甲子園に行きたいです。オマタにちんちんがないのが悔しいです。生理に来るたびに吐き気がします。こえも低くしたいです

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まりな

女性であることを実感させられるような特徴ってほんと嫌になりますよね。
私はMtFという立場なので、上田さんとは逆に男性的特徴に苦しめられてきたので気持ちはすごくわかります。

甲子園についてですが、一度先生に相談してみるのもいいと思います。
学校がGIDに対してどれだけ寛容かにもよるかもしれませんが、もしかしたら改善できることもあるかもしれませんよ。

記事にもある通り、ホルモン療法を始めると声は自然と低くなっていきますよ!
人によりますが生理も止まります。
男性として生きていきたい気持ちが強いのであれば、GID外来を受診することをおすすめします。

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上田沙良

俺の高校の先輩後輩同級生にはftmの人が7人はいます。部活は女子ソフト部です。水泳部に女子サッカー部、応援段部にチア部にまでftmがいます。他校にも。顧問の女性の教師も将来は男性になるそうです。俺にcカップ胸があるのが辛いです

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