性転換とは性別適合手術、SRSのことです。
S字結腸法での性転換を考えていて、実際に手術をした人の体験談が知りたい
S字結腸法で手術した人はなぜその方法を選んだの?
術後のダウンタイムはどれくらい?
学校や仕事はどれくらい休めばいいの?
この記事ではこういった疑問に答えます。
- わたしがS字結腸法を選んだ理由
- S字結腸法による性転換の流れ
- 術後の経過
- 術後のダウンタイム
- 術後の仕事復帰
わたしはS字結腸法により性転換をしました。
そこで今回はわたしがS字結腸法を選んだ理由、手術の経過、ダウンタイムについて解説していきます。
男性から女性への性転換でわたしがS字結腸法を選んだ理由
男性から女性への性転換には大きく分けて3つの方法があります。
- 反転法
- S字結腸法(大腸法)
- 外性器形成法(造膣なし)
わたしはS字結腸法により性転換手術を行いました。
その理由が女性器に使う皮膚の不足です。約8年の女性ホルモン投与により男性器が縮んでしまったためであり、反転法を行うには鼠径部(足の付け根の少し上の部分)の傷を避けることができない状態でした。
これがわたしがS字結腸法を選んだ理由です。
S字結腸法には傷を軽減する方法もある
S字結腸法は開腹手術により行われるため、術後は腹部に10cmほどの手術痕が残ります。
その傷を少しでも軽減するため、腹腔鏡手術によりS字結腸法を行うことも可能です。
この手術方法は小さな点状の手術痕が数カ所残りますが、開腹法によるS字結腸法に比べて傷跡は目立たなくなります。
腹腔鏡手術の場合、平均でも費用が30万ほど跳ね上がってしまうのがデメリットです。
わたしは費用の点から開腹手術を選択しました
S字結腸法による性転換の流れ
性転換の流れを以下の項目に分けて解説していきます。
- 手術前
- 手術
- 術後の経過
- 仕事復帰まで
1.手術前
手術前には以下のことを行います。
- 血圧検査
- 血液検査
- レントゲン
- 腸の洗浄
- 絶飲絶食
- 点滴
- 陰毛の処理
- カウンセリング
各検査とレントゲンに異常がなければ、手術当日に向けての準備が始まります。
S字結腸法により性転換する場合、腸を洗浄しなくてはいけません。わたしの場合、洗浄は下剤と浣腸により行われました。
下剤は液状でかなり不味かったです
ちなみに腸の洗浄は便が完全に出なくなるよう手術当日も行われます。
当日から絶飲絶食も始まるので、点滴はこのタイミングで付けられました。
手術1時間前には最後のカウンセリングがあります。陰毛はその時に処理されました。
症例写真を撮るため、陰部も撮影もされます
2.手術
手術は6〜7時間ほどかかります。麻酔をするので手術中は基本的に眠っていました。
ちなみに麻酔は静脈麻酔による全身麻酔です。
ちなみにわたしは気持ちが先行して、投与される前に眠っていたようです。
3.術後の経過
術後は陰部や腸の機能を回復させるため以下のことを行います。
- 絶飲絶食
- 抜糸
- 膀胱感覚を取り戻す練習
- カテーテルの取り出し
- ダイレーション
絶飲絶食は腸を利用しているため必ず行わなくてはいけません。
わたしの場合、腸が動いているかの判別はおならの回数によって行われました。
わたしは5回出ればOKでした
抜糸は術後1週間程度でようやくすることができました。抜糸をしてからは次の日から膀胱感覚を取り戻す練習が始まります。
術後、尿道が塞がらないように尿道にはカテーテルが取り付けられています。このカテーテルによって普段は尿意に襲われることなく、尿は垂れ流し状態で本人の意思に関係なく勝手に排出されていました。
カテーテルが付いた状態だと自分でトイレに行くことができません。そのため尿道が安定してきたこの時期に膀胱感覚を取り戻す練習が始まりました。
膀胱を膨らませて感覚を取り戻さなくてはいけないため、ギリギリまで我慢しなくてはいけないのですが、これが意外と大変でした
ハイペースですが、膀胱感覚を取り戻す練習をした次の日にはカテーテルが取り外されました。
万が一、尿道が癒着してしまった場合、再びカテーテルを取り付けなくてはいけません。そのためそういった意味でも、膀胱感覚を取り戻す練習は重要です。
術後は1日2回、毎日消毒をしてもらいます。カテーテルが取れてからは、この時間にダイレーションを行わなくてはいけません。
現在の性転換は細く造った膣を、ダイレーターというシリコンの棒により徐々に拡張していくのが主流です。帰国後も長期にわたり続けていかなくてはいけないため、帰国までの間、指導してもらいながらダイレーションを行っていきます。
以上が陰部や腸の機能を回復させるために行ったことです。順調に傷が回復していれば帰国することができます。
4.仕事復帰まで
性転換は傷が回復する期間などから、術後3か月は自宅療養したほうがいいとされています。
傷の回復が一番の理由ですが、ダイレーションも大きな理由の一つです。
膣が安定するまでは1~2時間のダイレーションを1日に2回行わなくてはいけません。
働きながら1日2~4時間をダイレーションに充てるのは想像以上に苦痛です。
習慣にしなくてはいけない大切なアフターケアであるため、そういったことも含めて3か月必要と言われています。
わたしは帰国後2週間ほど休み、仕事復帰しました。しかし痛みや仕事の忙しさかダイレーションは挫折してしまい、いまだに6段階目のダイレーターにたどり着いていません。
わたしのような失敗をしないためにも十分な休暇を取ることをおすすめします。
まとめ
今回は今回はわたしがS字結腸法を選んだ理由、手術の経過やダウンタイムについて解説しました。
要点をまとめると以下の通りです。
- わたしは皮膚が足りないためS字結腸法による性転換を行った。
- 手術前の下剤はかなりまずい。
- 手術は6~7時間かかる。
- 手術は全身麻酔により行われる。
- 術後は絶飲絶食、膀胱感覚を取り戻す練習、ダイレーションを行わなければならない。
- ダイレーションを習慣づけるためにも術後3か月は休んだ方がいい。
一生に一度の手術です
学校や仕事も大切ですが、後悔しないためにもしっかりと休暇を取ってあげてください