性転換手術とは性別適合手術、SRSのことです。
この記事では性転換と表記して話を進めていきます。
性転換を考えてるけど、性転換にはどんな種類があるの?
手術方法の特徴が知りたい
費用もわかれば嬉しいな
この記事ではこういった疑問に答えます。
- 性転換手術の種類ごとの特徴
- 性転換手術の費用
- 性転換手術を受けるための条件
- 性転換手術をするうえでの注意点
わたしも実際に性転換をしており、性転換前はどの方法で性転換をしようか悩んでいました。
そこで今回は性転換の特徴や費用を種類ごとに解説していきます。
性転換手術の種類ごとの特徴
性転換は以下の3つの方法により行うことができます。
- 反転法
- S字結腸法(大腸法)
- 外性器形成法(造膣なし)
どの方法も神経などの組織を転用して女性器をつくります。そのため術後は感覚もあり、性的に感じることも可能です。
また性転換後は女性が愛液(膣分泌液)を分泌するように、膣(厳密には尿道)からカウパー線液が分泌されます。
この点は個人差があり、カウパー線液が全く分泌されなくなる方もいるようです
手術の過程で睾丸が摘出されるので精液・精子は作れなくなります。
睾丸を摘出していない人は以下のメリット・デメリットもあるので、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
睾丸摘出手術の効果をメリット・デメリット別に詳しく解説それでは、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説していきます。
反転法
反転法はペニス(陰茎)の皮膚と睾丸を包む玉袋(陰嚢)を反転させて女性器をつくる手術方法です。
病院によって少し異なる場合もありますが、各部位は以下のように利用されます。
- ペニスの皮膚 → 外性器の一部、膣の内壁
- 玉袋 → 小陰唇、膣の内壁
- 亀頭 → 陰核(クリトリス)
反転法のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 出血量が少ない
- 身体への負担が少ない
- ダイレーションが必要
- 女性器に使う皮膚が足りない場合、鼠径部の皮膚を使わなければならない
反転法は施術箇所が少なく出血量が少ないため、身体への負担が少ないことがメリットです。
身体への負担が少ない分、同じく造膣する手術であるS字結腸法と比較し、回復が早いのも特徴です。また術後すぐに普通の食事を行うことができます。
デメリットのダイレーションが必要な点は、造膣をしている場合は避けられないデメリットです。
S字結腸法に比べて膣が塞がりやすいので、長期間ダイレーションをサボると再手術が必要になってしまうリスクもあります。
女性器に使う皮膚の不足は、長期のホルモン投与や玉抜き(睾丸摘出手術)によりペニスの皮膚や玉袋が縮んでしまった場合に起こります。
そうなった場合、鼠径部(足の付け根の少し上の部分)の皮膚を使わなければいけません。鼠蹊部の皮膚を使った場合、鼠蹊部には大きな傷痕が残ってしまうため、反転法を考えている場合は注意が必要です。
わたしは長期のホルモン投与に加え、睾丸摘出から性転換まで7年空いてしまったため、皮膚が不足していました
そのため反転法での手術は諦めました
皮膚の不足は毎日ペニスの皮膚や玉袋を引っ張ることである程度解消することができます。
皮膚が不足してしまい鼠蹊部に傷痕が残るのが嫌な場合はS字結腸法を選択するしかありません。
S字結腸法(大腸法)
S字結腸法はペニス(陰茎)の皮膚と睾丸を包む玉袋(陰嚢)を使い外性器をつくり、小腸と大腸をつなぐS字結腸で膣の内壁をつくる手術方法です。
この手術方法も病院によって少し異なる場合もありますが、各部位は以下のように利用されます。
- ペニスの皮膚 → 外性器の一部、膣の内壁の一部
- 玉袋 → 小陰唇、膣の内壁の一部
- S字結腸 → 膣の内壁
- 亀頭 → 陰核(クリトリス)
反転法の項でも触れた通り、長期のホルモン投与や玉抜きにより女性器に使う皮膚が不足した場合に、この方法を選択する方も多いです。
S字結腸法のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 反転法に比べてダイレーションをしやすい
- 膣が塞がりにくい
- 傷跡が残る
- ダイレーションが必要
- 身体への負担が大きい
- 術後、絶食期間がある
- 膣の十分なケアが必要
S字結腸法は元々筒状である腸を利用した手術方法であるため、同じく造膣する手術である反転法に比べて術後のダイレーションがしやすく、膣も塞がりにくいのがメリットです。
わたしはこの方法で手術を行いました
ダイレーションを半年行わない時期がありましたがそれでも膣の奥行きが変わらなかったのはS字結腸法で手術をしたからだと思われます
ダイレーションに関してはS字結腸法で行っても挫折する人が多いので、反転法に比べて劇的にダイレーションがしやすくなるということではありません。
S字結腸法は他の手術方法に比べてデメリットが多いです。ダイレーションが必要な点は、反転法と同じく造膣をしている場合は避けられないデメリットですね。
傷跡は開腹手術の場合は腹部に10cm程度の手術痕が、腹腔鏡手術の場合は小さな点状の手術痕が数か所残ります。
どの程度薄くなるかは体質によって異なります。
わたしはケロイド体質のせいか、今でもはっきり傷痕が残っています
S字結腸を利用しているため腹部への負担も大きく、術後は麻酔が切れた後、腹部にも大きな痛みを伴います。また腸の癒着防止や蠕動運動の回復のため術後数日は絶食しなければいけません。
腸が細菌を吸収しやすいため、術後は膣の十分なケアが必要です。
この点はダイレーション時や入浴時に毎日洗浄していれば問題ありません。
外性器形成法(造膣なし)
外性器形成法はペニス(陰茎)の皮膚と睾丸を包む玉袋(陰嚢)を使い外性器をつくる手術方法です。
この手術方法も病院によって少し異なる場合もありますが、各部位は以下のように利用されます。
- ペニスの皮膚 → 外性器の一部
- 玉袋 → 小陰唇
- 亀頭 → 陰核(クリトリス)
性転換の中では最もリスクの少ない手術です。
外性器形成法のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 出血量が少ない
- 身体への負担が少ない
- ダイレーションが不要
- 造膣されない
外性器形成法は施術箇所が少なく出血量が少ないため、身体への負担が少ないことがメリットです。造膣しないため反転法よりも負担がありません。
精神的にも負担がかかるダイレーションが不要なのは大きなメリットです。
造膣しないことは承知の上での手術なので、デメリットには感じにくいかもしれません。しかし膣が欲しくなった場合、S字結腸を利用するしかないため後悔の内容に臨む必要があります。
性転換手術の費用
病院によって料金設定は異なりますが、種類ごとによる性転換の費用の相場は以下の通りです。
手術方法 | 費用 |
---|---|
反転法 | 100〜120万 |
S字結腸法(大腸法) | 140〜200万 |
外性器形成法(造膣なし) | 70〜100万 |
一般的に反転法による手術を行う人が多いのですが、現在はS字結腸法による手術を受ける方も増えているようです。
わたしはタイにてS字結腸法による性転換を行いましたが、手術代が132万、アデンド代や飛行機代、ダイレーター代込みで170万でした。
性転換後は1〜3ヶ月、自宅療養のために休業した方がよく、それらの生活費も加味して費用を準備するのがおすすめです。
わたしは1ヶ月しか休めなかったので、性転換後は2週間ほどで仕事復帰しました。
性転換手術をするための条件
性転換をするには最低でも以下の条件が必要です。
- 性同一性障害の診断書の提出
- 女性ホルモンによるホルモン療法を1年以上続けている
- 性自認の性で日常生活を1年以上送っている
- 感染症にかかっていない
- 現在の生殖器に違和感を持っている
病院によって条件の内容に少し差はありますが、どの病院も性同一性障害の診断書の提出は必須です。
ちなみに海外ではエイズにかかっていたが性転換手術をしたという事例もあるようです。
日本や海外に関係なく、手術は予約してから半年後またはそれ以上先という場合が多いので、早くしたい方は早めに予約しましょう。
性転換をするうえで最も注意しなければいけないこと
性転換をするうえで最も注意しないといけない点は長期に及ぶダイレーションの必要性です。
反転法とS字結腸法による性転換は造膣もします。
人工的に造られた膣は身体にとって傷でしかないため、徐々に塞がっていきます。それを塞ぐためにダイレーションを行わなければいけません。
原理的にはピアスの穴が徐々に塞がっていくのと同じ原理です。
個人差はありますが、ダイレーションには痛みを伴います。1日に1〜2時間ほど時間も必要で、ダイレーターの挿入に苦戦すればさらに時間が必要です。
サイズアップの際の痛みは本当に苦痛で、この痛みに耐え毎日行わないといけないことから、挫折してしまう人も多いのが現実です。
サイズが安定すれば痛みは徐々に緩和されていきます。しかし長期に及ぶダイレーションは想像以上に大変なので、覚悟が必要です。
ちなみにわたしは過去に2回も挫折しました
まとめ
今回は性転換の特徴や費用を種類ごとに解説しました。
早くやりたい気持ちはわかりますがMtFにとって最後の体の手術でもあり、一回切りの手術でもあります
後悔しない選択をしましょう